子供の教育にとって乳児期から幼児期に一番大切なこと

小学生や中学生に教えることが多いと、みんなそれぞれの段階でつまづきやすいポイントというのがあります。

よくあるのが、小学生の算数の割合・直方体などの空間図形、そもそも文章題などが典型的でしょう。

ですが、算数に限らず、理科・社会・国語・英語など主要教科を見ても多くの苦手なポイントがあるわけです。

そして、また算数を例にとりますが、割合が苦手な人はそもそも割り算の計算力に問題があったりします。

ではなぜ割り算に問題があるのかというと、その前提の掛け算に問題があったりします。

さらに、なぜ掛け算に問題があるのかというと、その前提の足し算に問題があったりします。

またさらに、なぜ足し算に問題があるのかというと、そもそも物を数えるとかそういうところに問題があったりします。

またまたさらに、なぜ物を数えることに問題があるのかというと、そもそも数字の言葉とかその使い方を知らなかったりするのです。

なぜこんなことを言っているのかというと、「どこかで学習がつまづいているのは、根本的には小学校以前の学習に問題があったかもしれない」ということです。一般的には「小学5年生で割合が難しいという子は、小学校低学年の学習でつまづいているからだ」と小学校で習い始めてからの学習に問題があったと思われがちですが、そうではないのだと思います。これは私の感想であることを強調しておきますが・・・。

このように考えると、乳児期・幼児期の教育というのは小学校低学年以上に大事なことだと思うのですね。

特に言語能力に関しては。

しかし乳幼児教育というものの、乳児期・幼児期から流行りのなんとかメソッドみたいな子供教室に通わせたほうがいい、とかそういう話ではありません。

そんな表面的な話ではなく、もっと基本的で当たり前で大事な、それでいて経済的には誰でも実行できる話です。

ただし、ここで書くのは完全に私の経験則と感想で幼児教育の専門家でもない私の発言ですので、あくまで読み物としてお読みください。

乳幼児は他人とのコミュニケーションで世界を学ぶ

乳幼児が物事をどれだけ知っているかという点で一番影響を与えるのは、どれだけその子が多くのコミュニケーションをとっているかだと思います。

乳幼児に限らず大人でもそうですが、新しいことを学ぼうと思ったら基本的に他人の真似から入ることは非常に多い。

当然、他人とコミュニケーションを取らなければ真似はできないわけです。

ですから、コミュニケーションの量・種類が豊富なほど、乳幼児は世界のことを多く知ることができます。

逆に、コミュニケーションが少なければ学べることは減るのでしょう。

ですから親としては、とにかくなるべく多くのコミュニケーションを自分の子どもととることが大事なのです。

「そうはいっても仕事が忙しくて、子供と関わる時間が・・・」

そうした意見はわからないでもないですが、そういう言い訳をしたところで誰も幸せにはならないのですよね。

子供が小学校高学年になって学習面で問題が起きて「もっとあのときこうしておけばよかった」でいいのでしょうか?と思うのです。

将来役に立ちそうなことをするのではなく、なんでもやれ

子供の教育というと、とにかく『将来役に立ちそうなこと』とかいう視点で物事を考えがちです。

そのため、『プログラミング教室』やら『英会話』などが流行るのでしょうね。

『これからはプログラミングの時代です。今からやっておけば将来とても役に立ちます』などと言って親を酔っぱらわせているのだから罪深いものです。(まあ私も塾経営なので、同じようなことをしているわけですが・・・)

ただしあらゆる習い事に関して、10年・20年先の子供の役に立つかなど誰にもわかりません。

そもそも10年・20年後に「プログラミング」などは死語になっているかもしれません。

20年前、『銀行に就職すれば安泰』だったのが、今では『銀行なんてオワコンの代表』みたいな扱いです。

もちろん20年後にまた『銀行に就職すれば安泰』になっている可能性もあります。

何が言いたいのかというと、10年後・20年後なんて誰も何がどうなってるかわからないのです。

それでも、親が『将来役に立ちそうだから』と信じ、実際に20年後役に立つのだと仮定しましょう。

しかし役に立つことが確定していたとしても、子供の興味はまた別の話なのです。

例えば英語は『20年後も役に立ちそうなスキル』であることはそれほど反対されないと思います。

ですが、いかに重要なスキルでも子供が興味を示さなかったらほとんど意味はありません。

その子は英語なんかよりアリや宇宙に興味をもつかもしれません。

このように、子供の興味もいつ何に向くかも未知数です。

これらから、『将来役に立つ習い事』というのがいかに妄想なのかがわかります。

そんな一点集中、効率主義的な『将来役に立つこと』とかいう視点ではなく、『何が役に立つかなんてわからないのだから、意味なさそうだけどとりあえずなんでも気楽に教えておけ』という態度が親にとって重要なのではないかと思うのですね。

とはいうものの、『なんでも教える』と言われると何をすればいいのかわかりにくくなってしまいます。

そこで、私は普段どういう観点で自分の子供の教育を考えているのかを書いてみます。(つまり私の感想です。読み物です。)

算数・数学が好きな私ですが、とにかく言葉が大事だというのが一番ですかね。

生後半年の赤ちゃんとだってコミュニケーションはとれる

私は、赤ちゃんとコミュニケーションをとるのが非常に得意です。

友人が「うちの子は妻以外には懐かない。俺ですらほとんど懐いていない」と言っていても、私がコミュニケーションを取ると笑ってくれるのです。

生後半年の赤ちゃんは言葉は発しません。せいぜい「うーあー」とか「おギャー」くらいです。

でも彼らも物を伝えようとしてくれているのだと思います。

そこで私がやることは、赤ちゃんがやっていることを真似することです。

赤ちゃんが右手を上げたら、私も右手を上げます。

顔をしかめたら、私も顔をしかめます。

「うーあー」と言ったら、私も「うーあー」と言います。

赤ちゃんの行動を真似することで、私が同じように動くと、赤ちゃんは「俺が何か動くと、コイツも動くのだな。おもしれーな」と思っているかもしれません。

赤ちゃんは自分の行動が他人の行動に影響を与えたのだとおぼろげながら理解するのだと思います。

これもコミュニケーションだと私は思うのです。

真似をするというのがコミュニケーションになるのです。

『真似をする』という学習する上で最も大事な概念を学ぶことができるのではないかと私は信じています。

ですから、私は乳児に接するときはとにかくその子の真似をします。

周りの大人から見たら変な人ですが、知ったことではありません。

私は真剣にそれが大事だと思っているのです。

言葉を理解していなくてもとにかく話しかける

子供は2歳くらいにならないと、大人の言っていることはほとんど理解できないのだと思います。

ゆえに、そういう子には『でんしゃ』『おもちゃ』とか名詞を中心に一語文で話しかけたり、『ばあば』とか『あんよ』とかいわゆる幼児語・赤ちゃん語などとも呼ばれる言葉で話かけたりすることは多いのだと思います。

そもそも0歳ならば、それすら理解していないのだと思います。

幼児語や赤ちゃん語で話かけるのもそれはそれで必要だと思います。

ですが、大人の言葉で話かけるのも重要なのではないかと思います。

私も子どもが3か月の頃、外で散歩したがるものですから、毎日のようにあてもなくふらふらビル群の中をさまよったり、時には意味もなく丸の内に行ったりするなどの苦行を経験しています。

そこではとにかく時間はあり余っている。

ゆえに『効果があるかは知らんが、この子の頭のどっかに残っていればいい』くらいの感覚でとにかく話しかけていました。

それも『でんしゃ』とか『おうち』とかいう話しかけ方ではなく、『あの電車はどこから来たのかな~。なんでオレンジ色なのかな~。お~~きな音がするね』とか『あの銀色のビルはすごい高いね~。数えてみようか。1,2、3・・・・57、58階あるよ。多いね~。』などです。

とにかく、理解しているかなど全無視で、語彙を豊富に叩き込む感じです。

はたから見たら、一人ごとを言っている変な人かもしれません。しかしそんなことは知ったことではないのです。

赤ちゃんと一緒に丸の内のビル群を歩くのもなかなか趣深いもので、赤ちゃんには刺激になるかもしれません。

赤ちゃんとのお散歩の時間が長く感じるという人は、普段なかなか行かないところに行き、赤ちゃんに大人の語彙力で話かけまくるのがおススメです。

何か子供の言語能力に影響を与えると信じて。

これだけ読み聞かせの重要性が叫ばれているのですから、お散歩中に話しかけまくるでも良さそうなもんじゃないですか。

幼児期になったら真似と5W1H

子供の言っていること真似するーそれが言語学習

さて、2歳や3歳、4歳になるにつれだんだんと言葉を話すようになってくるでしょう。

そこでは、とにかくその子が話す言葉を真似することが重要だと思っています。

そのころの子供は文法やら語彙の間違いも多いのですが、子供が話す言葉を真似することでそれを修正しながら言葉を教えることができます。

具体的にはこのようにやっています。

子供『この前(昨日のこと)、先生、明日、僕、当番だったんだよって言ってた』

私『そうか、昨日先生が明日〇〇ちゃんの当番の日だって言ったんだ』

今の例は子供の言っていることの主旨は分かると思うのです。

しかし親としては主旨が分かったからといって『ふーん、そうなんだ』で終わらせないことです。

言葉遣いとしては間違えまくっているからです。

しかし、間違いを指摘する必要はありません。

まったく同じ主旨できちんとした言葉遣いで返してやるだけでいいのです。

繰り返せば、だんだんと言葉遣いが正確になってきます。

小さい子は『が、は、て、に、を』などの助詞が抜けることが多いし主語も抜けがちです、そこを補ってあげるととても国語力に良い影響を与えるでしょう。

特に主語はきちんと補ってあげてください。

間違いを指摘する必要はありません。コミュニケーションの量が解決してくれます。大事なのは正しい日本語を返してあげることです。『ふーん』で終わらせないことです。

このように考えると、別に幼児教室など行かなくとも言葉の訓練はたくさんできるわけですね。

質問しろ!正解不正解は問題じゃない!考えるクセが重要なんだ!

子供が言っていることに質問しましょう。子供が言っていることだけでなく自然現象などなんでも質問してみるのです。

『どうして、先生は〇〇ちゃんに優しいのかな?』『雲はどこに行くのかな?』『いつ雨が降るのかな?』などと。

子供は子供なりに答えを返してきます。考えます。

『かわいいからじゃない?』『山の・・雲は行くんだよ』『夜になったら降っんじゃない?』などと子供は返してきます。

合っているかはどうでもよくて、5W1Hを考えるクセをつけたいのです。

今後あらゆる学習をするときに必須な技能だからです。

小学校に上がったときの思考の粘り強さに差がでます。その後その差は拡大していく一方です。

いろいろなところで人を教えてきて思いますが、大人も含めて出来る人というのは自分で解決していける人なので、その根本にあるのは5W1Hなのだと思うのですよ。

逆にそうでない人というのは、口を開けて答えを待っている人なのですよね。大人もそうです。

とはいうものの、難しいことはなく気楽に適当に質問してみればいいのです。

そして何かかえって来たら『そうか。かわいいからか~。すごいね~。』『そうか。山の向こうに雲は行くのか~。なるほど~。』『そうか。夜になったら雨は降るのか~。難しいね~。』などと、先ほどと同様に言葉や文法の間違いを直しながらオウム返しします。

一石二鳥ですね。

幼児期にはなんでも教えろ!適齢期などない!

さて、言葉遣いや考えるクセだけでなく知識も教えていきたいところです。

これも『役に立ちそうなこと』ではなく、目につくもの思いついたもの適当に教えればいいのです。

ただ、一度話題に上がったことは何度も繰り返してあげるとよいです。

例えば私の場合、3歳の子にマイナスの気温を教えたりしています。

毎日一緒に気温計を見て、何℃か騒いでいるのですね。

『今日は寒いね~。何℃か見てみようか』

『おお~。今日は0,1,2,3、4、5℃だ。そりゃ寒いわけだ。もうすぐ凍っちゃうよ!』

とか目盛りを指さし読みながら気温計を見ています。

もっと寒くなれば氷点下になるのですが、その際も

『今日は特別っ!!寒いね!!今日はすごく低そうだから見てみようか』

『うわ~!!今日は0,-1、-2、-3℃だ!!この前よりもっと寒いね。もう凍っちゃうよ!』

などと、前回との違いを感情的にも際立たせます。

こうすることで、マイナスの気温とはどういうものなのかなんとなく理解させます。

3歳の子にマイナスとか学習指導要領にはないわけですが、とりあえず私にとっては教えやすいから教えているわけです。

このように、一事が万事、なんでも教えてあげるといいのではと思っています。

『一緒に測る』などと一緒に行動すると効果的なのではないかと思います。

これらはすぐに役に立つわけでもないですし、将来役に立つのかも不明ですが、いろいろなことをとにかく気楽に教えておくことで、いつか何かとつながるかもしれません。

役に立つかはわからないけど、なんでもたくさん知っておくことで、役に立つ確率を上げればいいのだと思います。

そういう意味でなんでも教えています。

この間はアルミニウムや海苔ができる工場の動画を一緒に見たりしました。なんの役に立つのでしょうね?

でも、海苔工場はなんか刺さったらしく、『海苔工場に連れていけ!』とうるさくなってしまいました。

何が興味をかきたてるかわかりませんね。

とにかくコミュニケーションの量を!そしてなんでも気楽に教える!

ここまでまとめると、役に立つとか効率とか考えずにとにかくなんでも子供とコミュニケーションをたくさんとることが重要だと思います。

その方法は私のような風変わりなやり方でもいいし、読み聞かせしまくるでもいい。

一緒にゲームをするでもいいし、一緒に山登りするでもいい。

とにかく、子供が大人とたくさんのコミュニケーションをすることです。

子供に勉強を教えていると必然的に親と関わるのですが、成績が良い子、素直な子、もしくは明るい子というのはその親が丁寧にたくさん子供とコミュニケーションをしています。

そしてなんでも良く教えています。

小学校4年生が政治家の不正献金の話を話題に出すものだから、『なぜそんなことを知っているのか』と聞いたことがありますが、『親とニュースを見て、あれこれ文句を言い合っていた』と言っていました。

そういう子は「支持率」とかいう言葉も知っているのですね。

触れる事柄が増えれば自然に語彙も増えるのですから、コミュニケーションの量・種類というのが重要なのだと改めて思います。

親にとっては忙しい世の中でなかなか、子供とコミュニケーションをする時間がとれないのだと思います。

それでも、塾経営者としてはアレな言い方ですが、学校や塾、習い事など人任せにしないで子供とたくさんコミュニケーションをとることが大切だと思うのです。

塾経営者なのでどうしても学力面の話になってしまいますが、たくさんコミュニケーションをとり、なんでも気軽に教えていくことが学力の基礎のなっていくのだと痛感している毎日なのです。