親がきちんとその子の才能を見えていないことがあるから塾に入れろ!

私は「別に塾なんていかせなくてよくね?」とか50%くらい思っている人間なのです。

なぜならば「親が教えればいいだろ」とか思ってしまうし、「塾行かせても人並みくらいにしかならんよ」とも思ってしまいます。

塾講師やっているからこその本音とでもいいましょうか。

しかし、大多数の子はそうであってもそういう事情に当てはまらない子もいるわけです。

例えば「俺は頭が悪いから子供に勉強を教えられない」と思っている親、「教えている時間なんて1ミリもない」と思っている親ならば「親が教えればいいだろ」は無茶なのですね。

当塾にも「私じゃ教えられないからお願いします」と堂々たる態度でお子さんを預けてくださる親御さんがいるのですが、塾に通わせる理由がきちんとして素晴らしいと感心しています。こういう親御さんはたいていこちらが言うことを真摯に受け止めてくれて、アドバイスを実行してくださります。

「周りが塾に行かせるから~」とか「中学にあがったから塾に~」とか雰囲気に流される人に比べて雲泥の差がでるわけなのですね。雰囲気に流される人は塾に通わせたあとも雰囲気に流される人ですから、塾講師のアドバイスも流されやすいわけです。

ぜひとも塾に通わせなければならない、塾じゃなきゃダメな理由くらいはあってほしいものだと思います。そうでなければお金の無駄になるのですから。

さて塾に通わせなければならない理由、塾でなければならない理由は色々あるのですが、今回は少し特殊なパターンを紹介いたします。

子供の才能を埋もれさせたままにしていませんか?

双子の妹の方が頭がいいと思っていた親

塾は割と兄弟姉妹で同じところに入れるというのも多いので、ぼちぼち双子さんがくることもあります。

べつに双子でなくとも今回のような例は多いのですが、インパクトがありそうな双子のケースを上げます。

「双子ならば成績も似たようなものだろ」と思っている人も多いでしょう。

全然違いますよ!

満点が取れる小6妹、ケアレスミスで毎回満点取れない小6姉

私が大学生の頃の家庭教師先だったのですが、お父様から依頼があるという今思えば珍しいパターンでした。それが私の大学1年時の家庭教師デビューでもありました。

お父様曰く

「うちの双子姉妹(小6)をみてほしい。どうも妻は妹のほうが成績が良いと思っているようだが、自分にはそうは見えない」

そういう姉妹比較が表沙汰になるとヤバそうだな、と心の奥底に「妹>姉と思っている母」という情報を封印するわけですが、実際に成績表を見ると確かに妹の方がやや成績表に「◎」が多く、テストもほぼほぼ100点を取ってきて、姉はぼちぼち90点だったりするわけです。

しかもお母さまが成績が良いように見える妹のほうを勉強面でよく褒めるそうで、姉のほうはやや自信を無くしているようにも見えるのですね。

成績が悪い(と思われている)姉ばかり褒め、成績が良い(と思われている)妹にクビにされる私

そんな状況で指導をスタートするのですが、確かに妹は小学校のテストで100点を連発するだけの実力はある。教えたこともすぐできるようになるし、覚えも悪くない。でも何かが違う。

一方姉のほうはケアレスミスが多く、とうていその感じでは満点は取れない。取れないのですが、決して妹に比べて覚えが悪いわけでもない。むしろ素晴らしい

2か月もしたらお父様とお母様には言いました。

「妹さんのほうは今は100点連発でも今のままだとまず間違いなく中学ではそんなにうまくいきません。中学になったら70点とか80点くらいになる感じです。一方でお姉さんのほうはとても素晴らしい。今は90点でも、中学に上がっても90点以上とれそうです。必ず中学で逆転します。」

今思えばあのときの経験値でよく「必ず」とか言ったものだなと思います。

お母様は「そんなバカな」と鼻で笑っていましたが、お父様は割と真剣な顔つきだったのが今でも印象的です。

また、双子を別々の時間に見ていましたが、ハッキリと姉のほうをよく褒めた記憶があります。

「あなたは素晴らしい。今は目立たなくても、中学高校では上位を張っている。必ず。その素質がある。誰も見えていないけど俺には見える!この一流大学に通っている俺が言うのだから間違いない!もう一回言う!あなたは素晴らしい」とか。

問題を解かせてその解答理由を聞いても素晴らしいものだから「本当にすごいな・・・なんで誰も気づかないのかね?」とか。

なんでそんなに大げさに褒めたのかって?

だって本当に素晴らしいんだもん。

今でもこんな感じですよ?

一度、お母様経由で妹から苦情がありましたね。

「なんでお姉ちゃんが褒められるの?」

別々の時間に指導していて分からないはずなのですが、分かるのですかね。女の感恐るべし。

その辺は私が未熟だったのでしょうね。

でもね・・・「普通に良い」くらいで褒められなかったのですよね。思ってないのに褒めるとどうしても嘘っぽさが表に出てしまったというか・・・

そのへんは今でもあまり変わらないかもしれません。精進せねば!

半年くらいしたら妹だけ他の習い事の事情で忙しくなったとかで私の指導は終わってしまい姉だけ指導を続けることになりました。その習い事とは塾です。家庭教師をやめ、塾になったということは私は嫌われたのでしょう。

ひょっとしたら、妹の方が頭がいいはずなのに姉ばかり褒める私にお母さまがムカついていたのかもしれません。

今思えば、お母さまは興味関心が妹のほうばかりに向いていたように思います。

一方姉はそのまま私が大学を卒業するまで続けてくれました。おもにお父様の理解のもと。

ちょうど高校受験までです。

点数では差をつけ始める姉、そして内申点が悪い姉

さて、姉妹が中学に入り中1も二学期になるといよいよ私の予言が現実のものとなりました。

妹のテストの点数は平均点をやや上回るくらいの70点か80点程度をうろうろ。姉の点数はあいかわらず90点くらい。

なぜか内申点は妹がやや上回るという状況。

中2・中3になるにつれ難易度が上がり、周囲の平均点が下がり妹もテストの点数は70点程度に落ち着いてくる一方で姉はやはり平均して90点くらい。

ようやく内申点で姉が妹においつくという状況、ですがテストの点数の割には姉の内申点は低すぎです。平均的に90点とってオール4にも届いていなかったのですからね!

「頼むから授業中落書きしたりしないでくれ!」と何度も姉にお願いしたものですが。

誰かさんのようだ。

弟子は師の教えを受け継ぐものですが、そういうのは受け継がなくていいのですがね。

最終的に姉は無理めな志望校にチャレンジし入試本番で内申点の不利を覆し偏差値65くらいの公立高校に合格していきました。

テストの点数や成績表の記号しか見ていない親になっていませんか?

私の初めての講師経験がこのような特殊なケースだったのはたまたまですが、初めてのわりに姉のほうは中学でもそのまま90点取れると私は思ったのでしょうか。

それは、双子のお姉さんの思考の仕方がすごく私と似ていたからです。

だから、多分私と同じようにケアレスミスが多くて、私と同じように中学で頭角を現して、私と同じように内申点が悪いのだろうなと。

私が小学生の頃もそうでしたし、このケースの双子が小学生の頃もそうでしたし、今でもそうですが、小学生のころまでは100点を取る子でも、中学に上がると70点とかに落ちるのは割と普通なのですね。

教科が多いとか、範囲が広いとかもあるのですが、そもそも中学の内容は小学校の内容より質の面でもかなり難しくなります。

同じ事柄をより詳しく習うとでもいいましょうか。

極論すれば大学入試でも変わりませんが、中学の勉強でも高得点を取れる子というのは「物事を細かく理由・背景から理解していて、それを表現できる」のです。

小学校までのテストは表面的な理解で100点は取れるのですね。でも中学のテストでは表面的な理解でもまあまあ70点くらいは取れるのですが90点以上は無理。高校・大学とレベルが上がるとますます深い理解が必要になります。

つまり、小学生のうちから物事の理由・背景まで突き詰めて細かく考えるようなクセをつけている子は当たり前に中学でも高得点を取るのです。

一方でそれがない子は中学で太刀打ちできなくなるというわけです。

先の双子のケースでは、姉が理由付きで説明できた・妹は多くの事柄でそういうものだと理解していた、この辺の差が教えていてにじみ出ていたのですね。

こういうクセは、教える際なにかにつけ「じゃあなぜそのように考えたのかの理由を説明してごらん」と聞いていると自然と見抜くことができます。

こういうのは塾講師でないとなかなか手が回らないことですね。

こうして小学生の頃100点だったのに、中学になったら70点。なんで?とあわてる親がいるものですが、裏の面もあります。

「小学生の頃90点とか80点とかでなかなか100点が取れない。それほど学力が高くないのでは?」と思ってしまう親もいます。特に高学歴な親にありがちです。

もちろん額面通り80点・90点な子もいますが、100点を取る子よりはるかに実力が高い90点の子というのも小学生段階では存在します。

ですから、一概に点数だけで判断するのではなく、子供の回答の仕方、思考の仕方などを詳しく見てあげてください。

そうすれば、満点をあまりとらない子でも「この子はマジで優秀だな」となるかもしれません。

私は逆転物語が大好きなので、そうした世間では気づかれていない優秀な子を見つけるのが得意です。

見つかるとワクワクしてしまいます。