だいたい5月のこの時期になると、新中1生の現実が親御さんたちにも見えてくる頃です。
先日こんな報告をうちの新中1生の生徒から聞きました。
生徒『今日単語テストがあったんです。』
私『ほぅ?いよいよ来るもんが来たな。』
生徒『ほとんど小学校でやったはずの単語って学校の先生が言ってました。』
私『そらそうだ。ほんで、君は何点くらいとれたんだ?』
生徒『う~ん、7割か8割くらい?』
私『あん?あれだけちゃんと完璧にしておけといったはず!!くぁwせdrftgyふじこ!!』
生徒『でもでも!聞いてください!0点の人が何人もクラスにいたんですよ?』
私『何問のテストだ?』
生徒『だいたい40問くらい?』
私『40問もあって1問も正確に書けんやつおるんか?そらやばいやつもいるもんだな・・・』
生徒『多分クラスの4分の1か3分の1が0点な気がします・・・』
30人そこそこのクラスで7人から10人くらい0点って、控えめに言ってヤバくないですか?
語彙力ないですけどヤバくないですか?
生徒の話が大分盛ってあるとしても、40問の単語テストで0点がそこそこいるってなんなんですか?
別にfloccinaucinihilipilificationのような長くて難しい単語が40問出されたわけではなく、せいぜいsoccerとかblackとかそんなもんですよ?
今の中1英語は普通以下を叩き落そうとしているとしか思えない
最近の中1生の親に『うちの子は英語が苦手でなんとかしてください』とか言われたら断ろうかと思ってしまうことがあります。
なぜなら、私たちが中1の頃とは比較にならないほど何もできない状態であることがほとんどだからです。
別に頭が悪いとは限りません。
中1の最初の段階でいきなりトドメを刺されているのです。
ちょっと小手調べで相手(中学の勉強)の実力を試そうとしている生徒側と、小手調べで核兵器を撃ってくる学校側のような関係です。
新中1生は英語の最初の授業で『中学の英語って何やるんだろ』状態です。これは20年前も30年前も同じでした。
違うのは20年前や30年前は小学校では英語はやらなかったということです。ゆえに中学校側も『お前ら英語のことなんも知らんよな?だからアルファベットからじっくりやっていこうな』と優しかったものです。
でも現在では『アルファベットなんか当たり前に読み書きできて、小学校で習う単語くらい(少なくとも600単語)当たり前に書けるし意味も分かるな?』という前提で、全力で授業を進めます。
そして最初の単元はいきなり『一般動詞とbe動詞の区別』です。
I eat a banana in the restaurant.
くらいの文章がいきなりぶっこまれてきます。
ABCの書き方からやっていた我々の頃とはえらい違いです。
でも入学してくる新中1生の意識は私たちの頃とそれほど差はありません。
子供たちの側がファイティングポーズが取れていないのに、中学の授業は全力で殴りかかってくるわけです。
多くの子供たちは最初の段階でノックアウトされます。
トドメに、最初のLesson1で平気で90単語から100単語を覚えるべき単語とされてきます。
これは教科書側が
『お前ら小学校で単語やったいうても、どうせほとんど覚えておらんやろ?だったら、ワシがもう一回思い出させてやるからな!しっかり練習せえよ?』
と親切で小学校の単語も含めて新出単語としてくれるわけですが、ピカピカの1年生相手にいきなり90単語・100単語覚えさせるのです。
いきなりきちんと文法から始まり単語も異常な量!となれば、ほとんどの生徒の運命は見えているわけですね。
5月あたりから英語の落ちこぼれが大量発生します。
私が中学の頃はだいたい中1の2学期くらいからだんだんと落ちこぼれがでてきたものですけどね?
かくして、一部の優秀な子、そして小学校の頃からきちんと英語を鍛えていた子以外は早々と中学英語から脱落するわけです。
今死ぬ気で追いつかないと大学受験とか無理
親世代の感覚で中学英語を考えているといかにマズイ状況かということがお分かりいただけたと思います。
言っておきますが、ほとんどの中学生は小学校で習うべきとされている600単語などほとんど意味もわかりませんし、もちろん書けません。
子供たちがなまけていたわけではないのです。
そもそも小学校で『単語を覚えてこい、書けるようにしろ』、という指導がされていません。
小学校の英語は未だに『英語の楽しさにふれよう』みたいなちょっとおしゃべりして終わりの授業ばかりです。
おそらく、そのように指導するようになっているのでしょうね。
一方中学では、『小学校の単語は全部知っているよな?』と当たり前な顔して突っ込んできます。
小中学校の連携はまるで取れていません。
じゃあ、誰がこの穴を埋めるのか。
当然、親の役割です。
学校に文句を言いたいかもしれませんが、無意味です。
耐えがたきを耐え、親が何とかするしかありません。
じゃあ、中学英語で開始早々落ちこぼれないために何をすればよいのか。
真っ先にアルファベットが書け、そして読めるか確認です。
そして小学校で習ったとされている600単語全部覚えてください。
今時、覚えるべき単語は『小学校 必修 英単語』みたいな検索をすればいくらでも出てきます。
そうでなければ、中学の教科書の各単元で出てくる膨大な英単語を逐一完璧にすることです。
私の世代であれば、1単元20とか30がせいぜいでしたが、今では90や100が普通です。
ある意味教科書にあることをすべて覚えればいいのは30年前と一緒ですが、昔と違い量が膨大です。
小学校の単語が乗せられているからです。単語に関しては中2、中3のほうが圧倒的に楽なくらいです。
中学生活最初に巨大なハードルがあるわけですが、ここを超えないと大学受験は無理です。
大学受験は英語だけはほとんどの場合避けて通れません。
文系だろうが理系だろうが。
そうでなければ名前書けば合格するくらいの大学しか行けません。
そんなところに行っても金の無駄で、就職の際には箸にも棒にも掛からぬのは火を見るよりも明らかです。
だから当塾では小学生から中学英語をやるのです
さて、実際には中1の段階でこの膨大な量をいきなりやるのはほとんどの場合無理です。
宿題もあれば、他教科もあり、新しい生活、部活、家に帰ればyoutube・ゲームと新中1生は小6とは比較にならないほど忙しいのです。
「時間がない」という物理的な問題が立ちはだかるのです。
睡眠時間を削るか、ゲームやyoutubeの時間を削るかすればなんとかなるのでしょうが、どちらも無理なのはほとんどのご家庭で承知のはずです。
ですから、事実上何もしないで中1になった時点で英語は半分以上手遅れだと私は思っています。
手遅れにならないためには、先ほど言ったように膨大な量をこなさなければなりません。
『手遅れだなんて、なんてひどいことを言うやつだ』と思われる方もいるでしょうが、これが現実です。
ゆえに、私は当塾の小学生には中学英語を教えています。
それもSVOCからと割とガチ目なやつです。当然英単語もガツガツ覚えさせています。
当塾に入塾した小学生の親御さんには苦情がくるのではないかと思われるくらい『小学生のうちに単語をやらせないと!!』と脅かしまくっています。
半分以上は脅しどころか現実だからです。
『中学に上がったら勉強もできて、部活も頑張って、友達もいっぱい作って・・・』みたいな夢のような生活を望むのであれば、小学生のうちにある程度やっておかなければ、中学に上がってから勉強か、部活か、友人関係か、何かが破綻するでしょう。
充実した中学生活など夢のまた夢です。
最も多感で複雑な中学生という時期を沈んだまま過ごすことになります。
正直、中学受験なんぞやっている暇があるのならば中学英語・中学数学をやったらどうなのかとすら思います。
強めに書きましたが、本当に中1英語の世界は大変なことになっています。特に公立中学は。
数学や国語の状況なんて、英語に比べればかわいいものです。
新中1生の親御さんは見えにくいですがお子さんは中学英語から脱落しかかっています。追いつくのであれば今がラストチャンスです。
小学生の親御さんはなるべく早いうちに単語だけでもいいですからきちんと覚えさせましょう。早ければ早いほど少しずつでいいですし、負担も軽いです。まだお子さんに余裕があるうちに!