分数が超便利ツールだと思えば算数で分数は苦手にならない

掛け算九九割り算単位変換と算数の苦手の原因となる単元について熱く語ってきました。

そして最大最強のラスボス「分数」についに切り込むわけです。

小学校の数多くの課題をなんとかクリアしてきた子たちもラスボスで撃沈する子は後を絶ちません。

大学生や社会人でも分数の計算ができないという煽り記事がたまに見られるくらいネタにされる分数苦手問題。

でも、掛け算九九、割り算、単位変換と私のブログを見た人は、流れを予想できるでしょう。

「量をこなせ!体に覚えさせろ!」

分数ができなければ中学以降の数学の授業は苦痛のみの時間に!

分数は小学校3年生で初めて習いますが、本格的に難しいのは5・6年生の通分・約分、掛け算・割り算です。

ここで分数の計算規則をきちんと身につけておかないと、中学以降の数学はほんとうにきついです。

なぜなら、中学1年の数学の最初に「正負の数」「文字式の計算」をやるわけですが、分数の四則演算を絡めた計算など当たりまえにでてきます。

あるいは高校数学では、解の公式やら三角関数やら積分やら数列やら、分数が公式の中にふんだんに盛り込まれています。

「通分が苦手で~」とか「掛け算と割り算は分母と分子反対にするんだっけ?」とかいう状態では話にならない。

当然、息をするように通分・約分・掛け算・割り算ができなければなりません。

もうわかりますよね?

「量をこなせ!体に覚えさせろ!」

計算の便利ツール・分数

とはいうものの、分数の練習がただの苦痛で終わるのはよくない。

ここで私が考える分数の素晴らしい長所を教えましょう!

割り算は分数で表せる、なんなら答えも!

何を言っているかわかりませんね。

例えば、「43秒は何分ですか?」という単位変換の問題があったとしましょう。

当然\(43÷60\)をするわけですが、これまともに筆算で解こうとすると割り切れないのがわかります。

子供たちにこの問題をやらせると律儀に筆算で解こうとするのですよね。

当然、割り切れずに自分の立てた式\(43÷60\)が正しいのか不安になるわけです。

こんなとき\(\dfrac{43}{60}\)でいいのです。

割られる数(この場合43)が分子にきて、割る数(この場合60)を分母にすればいいわけですね。

超簡単!

なお約分できるときは約分しなければなりません。

とりあえず\(60/12\)とか割り切れるようなものでもまずは分数でおいてみるとよいです。

そうすると何がよいかというと、例えば以下のような計算問題があったとしましょう。

\(16×45÷18×60÷12\)

これ割り算と掛け算のみの式なので、左から順番に計算していけばいいのですが、かなり大変です。

それを以下のように分数にしてしまいます。

\(\dfrac{16×45×60}{18×12}\)

このように、分数にしてしまうと、約分し放題。\(16×45\)とか手間のかかる計算しなくていいのですよ。

最終的に\(2×5×20\)程度のだいぶ簡単な式になりますね。

掛け算も割り算もかける数や割る数が大きくなると面倒です。

なるべく、それをしない方向にするため、分数にして、ちょっとずつ約分してから計算、というのは定番の方法です。

分数便利なんですよ!ほんとうに!余りとかないし!

分数の苦手を克服するためには問題を切り分け順序立てて解く練習を!

5・6年生で分数の計算を本格的にするようになると、もう15+8をするように一瞬では解けなくなってきます。

それは考えなければならないことが多くあるからです。

その順序をひとつずつこなしていけばきちんと解けるのですが、面倒くさいといって適当にすすめるとわけわからなくなります。

仮に以下のような式があったとしましょう。

\((\dfrac{5}{6}+\dfrac{3}{7})×\dfrac{8}{11}÷\dfrac{6}{22}\)

とても大変そうな式ですが、問題を切り分けましょう。

  • 計算の順序を真っ先に考える。カッコだとか足し算・引き算と掛け算・割り算の順序。
  • 足し算と引き算したいところは通分。
  • 割り算があったら、分子と分母を逆にして掛け算に直す。
  • 約分できるところはここで約分。
  • 簡単にした式で計算しなおす。

まずは、計算の順序です。

分数とか関係ありません。カッコの中を真っ先に計算し、さらに掛け算と割り算が優先です。

小学校4年生で習う話です。

カッコの中は足し算と引き算ですね。通分します。

この時点で以下のようになります。

\((\dfrac{35}{42}+\dfrac{18}{42})×\dfrac{8}{11}÷\dfrac{6}{22}\)

\(=\dfrac{53}{42}×\dfrac{8}{11}÷\dfrac{6}{22}\)

次に、分数の割り算が一番後ろにありますね。

分子と分母をひっくり返し掛け算にしましょう。

\(\dfrac{53}{42}×\dfrac{8}{11}×\dfrac{22}{6}\)

次にしばらく約分タイムです。

22と11が約分できますね。11で割れます。

\(\dfrac{53}{42}×\dfrac{8}{1}×\dfrac{2}{6}\)

8と6も約分です。2で割れますね。

\(\dfrac{53}{42}×\dfrac{4}{1}×\dfrac{2}{3}\)

42と2約分ですね。2で割れます。

\(\dfrac{53}{21}×\dfrac{4}{1}×\dfrac{1}{3}\)

×1は消してしまいましょう。

\(\dfrac{53}{21}×\dfrac{4}{3}\)

あとは分子同士の掛け算・分母同士の掛け算ですね。

\(\dfrac{212}{63}\)

これくらいの計算がスラスラできるようになれば、小学校レベルの分数の計算はOKです。

中学数学に進んでいけるでしょう。

でも最初からスラスラできるようにはなりません。

順番を意識してちょっとずつ慣れていきましょう。

大人だって、就職してからはじめのうちは電話で自分の会社の名前を言うだけでどもったりしますからね!

電話応対にすれば以下のような順序ですか?

  • メモの準備。
  • 「はい!」と言う。
  • 「(会社名)(電話に出た人間の名前)でございます!」と言う。
  • ここで相手が名乗ったり要件を言うので、メモ。特に相手の名前・会社名
  • ほとんど自分以外の人あての電話なので、その場合「少々お待ちください。」と言い保留ボタン。
  • 転送して「~の〇〇様からお電話です。」と伝え、受話器を置く。

かなり大変ですね。分数の計算より難しそうです。

でも慣れれば、電話がかかってきて1秒でメモの準備をし始めるものです。

ようするに分数も電話応対も慣れです。

ゆえに親としては、通分で詰まっていたとしても新人の電話応対だと思って暖かく指導してあげてください。

分数の計算を練習するための問題集・ドリル

小学校の分数の計算練習するだけならば、どんなドリルでもよいです。

6年生が使うようなドリルで、分数の通分・約分、掛け算・割り算ができればなんでもOK。

大事なのは、問題集に直接書かせないことです。

反復練習をすることが何よりも重要なので、別途チラシの裏でもいいので白い紙に解かせましょう。

あとは親が、子供の計算スピード、詰まっている箇所はないかどうかを確認します。

子供だけに任せてはいけません。必ず、子供の解きっぷりを観察してください。

その際、「なんでそんなのができないの!」とか「それ何回も教えているでしょ?」とかいう声掛けは禁止です。

会社の新入社員だと思ってください。

そんな声掛けでは新入社員ならすぐ辞めるか、パワハラで訴えられるかでしょう。

子供も同じですよ。

分数の苦手は早めにつぶそう!

分数は小学校算数の中で最重要分野と言ってもいいでしょう。

サボると後がそれだけ大変だからです。

ゆえに子供の分数の計算スピードを見て、つまっているな~と感じたらすぐ鍛えてあげてください。

解けるかどうか、ではありません。

解けることは当たり前で、計算スピードです。

息をするように分数の計算ができなければ、中学以降の数学は新しい知識を入れる以前の問題になってしまいます。

その果ては「数学めんどうくさい・・・」です。

こうなってからでは、取り戻すのは精神的にとても大変だと言っておきます。

思春期を迎えた中学生に小学校の算数からやり直させるというのは、子供たちのプライド的に大変です。

まして、親が「小学校の算数からやり直しなさい」などと言って、やるわけがないのです。

どうか手遅れになり、塾や家庭教師にお願いする、なんて事態にならないよう気をつけましょう。