中学受験をしたくないならしなければいい

私は中学受験の子を見た経験が何度かあります。(炎心塾で中学受験生入塾希望の場合はご相談ください。)

その経験から言えば、中学受験ってあまり好きになれないシステムです。

中学受験に対する世間の風潮も好きになれません。

別に、「小学生は遊ぶべきだ!」とか「あんなに塾で詰め込み教育されて大変そう!」とか「課金ゲーム反対!」とかそういうことではないのです。

中学受験って不公平じゃない?

小学生で野球やサッカー、なんでもいいのですがスポーツをやると、家庭によってはある問題に当たります。

また勉強面でも同様の問題があります。

それは、「4月生まれと3月生まれを比べると1年近い時間の差がある」ということです。

野球チームでレギュラーになろうと思ったら、当然うまい方がレギュラーになりやすいわけですね。

でも同じ6年生の6月でもでも4月生まれの子は12歳2か月だし、3月生まれの子は11歳3か月なんです。

こう書くとすごい差がありません?

下手すると身長に10cm近い差が普通にあったりするんですよ。

これでレギュラー争いが本当に公平か?と言われるとなんとも言えなくなっちゃいそうです。

勉強も同様です。

同学年でも4月生まれの子の方が3月生まれの子より成績がいいのは事実です。

私が小学生のときなど、3月生まれの同級生は先生から公然と「できないやつ」扱いされてましたからね・・・。

逆に4月生まれは優遇されていたりします。相対的に大人だからです。

当然、中学受験でも同様の問題が起きます。

発達に1年近い差があるなら、それだけで3月生まれの子は大きなハンデを抱えていることになります。

まあ中学受験と言えば私立がほとんどなので、そんなハンデの差があることは特に気にする必要はなく、粛々と成績順に合格させ、入学者の誕生月は4月が一番多い!なんてことになっているのではと思います。

この仮説が正しいとすると、「中学受験もまず運だな」と思わざるを得ないわけです。

男女差なんかも同様ですね(この時期の子は総じて女子の方が精神が成熟している)。

男女差は一応、男子校・女子高という括りがあるので、問題にならないかもしれませんが。

いずれにせよ、こうした問題がありうる以上、中学受験はまず気持ち的に「なんだかな~」という苦いようななんとも言えない気持ちになってしまいます。(感想です。)

高校受験だともう少し差はなくなってくるのですが、それでもモヤモヤはいつもあります。

よって、いわゆる早生まれの子が中学受験をするなら、親としては「まあ厳しい部分もあるだろう」くらい優しめに考えてほしいかなと思います。

それ以外の話として、私は「私立中学なんぞ無理やり行くようなものでもない」と考えています。それを元に親としては「中学受験はしたくないならしなければいい」と思うのです。

なぜみんなこぞって私立中学を目指すのか

なぜこれほど私立中学の受験が流行しているのか。

「学習塾で一番儲かるのは中学受験塾だ!」なんて言われてしまう始末です。私も「中学受験専門塾にしようかしら?」と思ってしまうくらい。

私立中学のほうが学力が高く質の高い教育を受けられる

先ごろ、令和4年度の全国学力学習状況調査の結果が出ています。

これを見ると、学力テストの結果で小学生も中学生も、公立と私立の間で平均点に10点くらい差があったり、私立の方がグラフの山が高得点側に偏っていたりします。

全国学力調査、公立中3数学の結果
公立中3(出典:国立教育政策研究所:令和4年度全国学力学習状況調査
全国学力調査、私立中3数学の結果
私立中3(出典:国立教育政策研究所:令和4年度全国学力学習状況調査

これだけ見るとなんだか私立中学に行くと頭良くなりそうな気がしません?

しますよね?平均点10点近く高いのですから。

でも違うのですよ。

そもそも母集団が違うのです。

公立中学の子は、そもそも中学受験などとても受かりそうにない成績の子が私立中学より多いし、母集団として非常に成績の低い集団から高い集団までまんべんなくいて当たり前です。

一方で私立中学の子は、まがりなりにも中学受験を合格している子なわけですから、それなりに能力のある子が多いという前提があるわけです。

言ってみれば、学校が何も授業しなかったとしても、平均点にある程度の差が出てくる結果になるでしょう。

要するに、私立中学のほうが「ある程度頭のいい子が多く行っているのだから点数が高くて当然」なわけで、決して「私立中学の授業のおかげで成績が上がりやすい!」とは限らないということです。

それに私立中学の授業の質が高いかというと必ずしもそうではなく、普通に詰め込み式で泥臭くやっている学校もそれなりにたくさんあるわけです。(家庭教師先で私立中学の子にあたると、課題が大量で・・・ということはよくある。)

内申点制度と関わらなくて良い

公立中学に進学すると高校受験に絡むのが悪名高い内申点。

定性評価の塊ともいうべき、先生の裁量でつけられるアレ。

私も内申点制度に悩まされた当事者だったので、できれば避けたい気持ちはよくわかります。

私立中学だと高校受験をしなければ、そうした制度とは無縁。(最近は大学の推薦入学枠が増えたせいで、高校生時の内申点が重要だったりしますが。)

高校受験と比較すると受験科目が少ない

公立高校の受験科目は5教科、私立高校でも英語が加わる分、中学受験よりも確実に受験科目が多いわけです。(小学校で英語が必修化されているので今後どうなるかわかりませんが・・)

この点をメリットとして中学受験をしたい!という家庭も多いです。

実際学校によっては2科目!とか1科目で受験できたりする場合もあるので、中学受験は少ない科目数で受験でき、合格すればそのまま大学受験に専念できる、というのはメリットですね。

土曜授業がある

子供からするとデメリットな気もしますが、親からすれば土曜授業があるのはその分子供がたくさん勉強させられると思うので、学力に良い影響がありそうに思えます。

同じようなレベルの同級生と交流できる

私立中学とは受験を通ってきますので、似たような学力レベルの子が集まりやすい。

そのため、子どもと価値観が近い場合が多い、と言われています。

よって子供が学校生活になじみやすい、とも言われています。

本当に私立中学でいいの?

私立中学に行くのはメリットもあるようですが、デメリットもあるわけです。

学費が高い

これは最も問題になる点です。私立中学のほうが学費が高いこと。

学費と言っても様々あり、さながら塾のように、いろいろな名目でお金をとられます。

授業料、施設費、寄付金、郊外活動費、などなど。

それらがいちいち公立より金額が高いのです。

修学旅行費で〇十万なんてよくある話です。

節約マニアの1級FPでもある私としては、たかだか学生のお楽しみ旅行で〇十万も払うのはどうかと思います。

寄付金とか言う世界もなかなか庶民には考えづらい。

そういうのはもともとお金持ちの世界の話なんですけどね。

必ずしも子供に合う学校とは限らない

私立中学というと、子どもが文化祭などに行って「ここを受けたい。」とか言い親としても「校風が合っている」とかいうなんかあいまいな感じで進学を決めたりします。

実際、子どもに合っている学校な場合も多いですが、そうでないことも多々あります。私立中学に進学後、不登校になりました、という子は普通に存在しているわけです。

いじめなども普通に存在しています。

別に公立中学だから、合わないとか、いじめが多いとかいうわけではなく、はっきり言って運だと思います。

極端な話、校風が合って、クラスメートに恵まれても、担任と絶望的に相性が悪い、なんてこともあるわけですから。

だから、「うちの子はここが合っている!」などと盲目的に考えないことです。万が一合わなかった場合、子どもの逃げ道がなくなります。

学力的に落ちこぼれる恐れ

私立中学というのはある意味、成績が似通った子たちとクラスメートになるわけですから、ちょっとしたきっかけでクラスの下位ということは十分あり得ます。

中学受験するということは小学校では比較的頭のいい方だったと思いますが、中学に入って下位、では子どもの自尊心が傷つくこともあるでしょう。まあそれぐらいは今後の人生でいくらでもあることなので、立ちなおるべきことでもあるのですが、まだ中学生の子であれば立ち直りに親のサポートなり必要に思います。私に言わせれば私立中学に入っている時点ですごいのだから、適切に努力すれば挽回する能力はあるはずで、復活できるしそうした子はいくらでも見てきました。

逆に、小学校のころは比較的頭のいい方だったのだから、公立中学に進んでいれば、引き続き頭のいい方の集団である可能性は高いわけです。

私は「鶏口牛後」という言葉が好きで、塾生にも「どんなに小さい集団でもいいから1位を取れ」と言っています。勉強じゃなくてもいい。理由は「1位」を取ることほど自尊心を上げることはないと思っているからです。

もともとある程度頭が良いのなら、公立中学に進めば「1位」を取ることだって十分手の届く範囲なのです。1度1位を取ってしまえば、引き続き子どもは頑張ってしまうものです。

もちろん、進学した私立中学で1位を取ればより効果は高いのですが、たいてい私立中学にはバケモノのように頭がいい子がいるものです。

私立中学に合うか合わないかは運!行きたくなければ行かなくてもいい

これまで見たように、中学受験して私立中学に行くのはメリットもあるけど妄信するようなものでもないよ、ということです。

「お金に余裕があれば行かせればいい」という類のものだと、私はいつもアドバイスしています。

または進学予定の「公立中学がすごい荒れている」とか、「どうしても行きたい部活がある」とか。

そうした理由の場合は私立じゃなきゃダメな理由になるので、行ったほうがいいと思います。

昔から家庭教師やっていると「〇〇中のサッカー部に入りたいから中学受験する」とかいうのは割とありふれた理由でしたし。

でもそうでなければ、特に子供が別に「行きたい」とも言ってない場合などは、周囲(同級生・ママ友・塾など)に焦らされず公立中学に進学でもいいのではと思う私なのです。