まず始めに言っておきますが、『返事をしない子ども達』なんて今に始まったことではありません。
ここで書くのは『最近の子供達は返事すらできない』などという『最近の若者はなっとらん!』論ではありません。
私が子供の頃でも『最近の子供は返事をしない』と言われていたし、なんなら親の年代でも言われていたはずです。
そのため『うちの子は返事もしない・・・』などと嘆く必要はありません。周りの家庭も、いつの時代も似たり寄ったりです。
ここはいっそのこと『いつの時代も子供達は返事をしない』という前提に立って、物を考えてみませんか?
なぜ子供達は返事をしないのか
子育ても1歳くらいになるとボチボチ言葉をしゃべり始めます。2歳・3歳くらいにもなれば名前を呼べば『何~?』などと返事をしてくれるようになるでしょう。そのときは可愛くて仕方のないものです。
その後個人差はありますが、小学校も3・4年生くらいにもなれば呼んでも『あ~・・・・』とか『うぇ~~・・・』とか反応があればいい方で、無反応なことも珍しくありません。
これは理由があります。
大人に近づくにつれ子供達は『たいていのことは自分でできる』と思うようになっていきます。実際には錯覚なんですが、少なくとも子供達はそう思っています。
また、親との付き合いも長いわけです。親の注意など『またいつものやつだろ?』くらいに真剣味が薄れてきます。
色々なことが重なって、子供達は親をある部分で軽んじるようになります。
このことが生返事や無反応につながっていきます。
親が相手じゃなくて、習い事の怖い先生が相手なら小学生だろうが中学生だろうがきちんと返事しますからね。
だから基本的には決定的に返事ができないわけではないのです。
相手を見て使い分けているのです。もちろん大人しい子だったりで個人差はありますが。
なんなら大人でも返事をしない
新入社員などでも『最近の新入社員は返事もまともにできないのか!』などと言われがちです。これも『別にお前らの時代でも同じこと言われていただろ!』と思います。それが分かっていない年配者は自分を客観視できない人なだけ。社歴が長い人でも返事もろくにできない人いっぱいいますよ?大企業でもね。
つまり大人でも子供達と大差ない。
まともに返事ができない子供が、そのまま大人になってまともに返事ができないだけとも言えます。
ある意味『返事ができない』というのは別に特別悪いことでもないし、極々普通のこと。
逆に考えるんだ!返事がきちんとできればそれだけで高評価
世間がまともな返事をできない人ばかりだと考えれば、逆にきちんと返事ができる人はそれだけで高評価だということです。
『そんなことで・・・』と思われますが、本当ですよ!
仕事でも同僚に『この仕事はこうやるんですよ』と教えて、『はい・・』と言われるのと『はい!わかりました!』と言うのではかなり差があります。大したことでもないのですが、周囲はこんなことくらいでも人を評価します。
学校でも返事が良い人は単純に先生受けが良いです。
先生からしたら子供たちが返事をせず分かっているのか分かっていないのかも伝わってこない。
そんな中できちんと返事をできる子はそれだけで救いになります。
先生『ここは~~~でこうなんだ。分かったか?』
生徒『・・・・・』
これは人前で何かしら発表すればわかりますが、人前でしゃべって無反応は精神的にきつい。
だから返事がきちんとできる人は貴重なのです。
親は子供にきちんとした返事をさせるよう指導すべき
無反応を返す子供たちに対して、親たちもなんとなく曖昧にしてしまうこともあるでしょう。
親たちもやることが多いですから、返事をしないことにいちいち怒ってられないというのも分かります。
また、『返事はきちんとするほうがいい』と思っていても『なぜきちんと返事をしたほうがいいのか』まで考えている親はあまり多くないでしょう。『なぜ』が曖昧だと子供をきちんと指導できなくなります。
ゆえに親としては『きちんと返事ができたほうが圧倒的に得だから』をきちんと教えましょう。
そして『たかが返事』と思わず、『返事だけはきちんとさせる』くらい子供に向き合いましょう。
逆に『返事をきちんとさせる』ことをしなければ、子供が大人になったとき周りの人と同じようになり、取るに足らない存在になっていくのです。『周りも返事をしてないからOK』は、その他大勢の集団に入ることを意味するくらい危機感を持ちましょう。
19歳で居酒屋のオーナーから初めてきちんと返事の仕方を指導された話
実は私もご多分に漏れず『返事をきちんとできない子』でした。そして大学生になり『返事をきちんとできない大人』に片足を突っ込んでいました。
返事とは呼ばれたら『はい』と言えばいいくらいの認識でした。
そんななか個人経営の居酒屋でバイトを始めました。
真っ先に注意されたのが返事でした。
『返事は「はい」じゃなくて「はい、分かりました。」だ。』
「はい」だけでは分かったのか分かってないのか伝わらない。お客さん相手にそれでは困る。
ということだったのです。
実際にお客さんに返事をするなら「はい、かしこまりました。」とでも言うのですが、きちんと伝わる言い方の大切さを説かれました。
そのときは業務命令くらいにしか思っていなかったのですが、返事の癖がつき、就職後は「はい、分かりました」はよく褒められました。上司曰く「返事が明確で伝えやすい」のだそうです。
このことから、私にとって19歳で返事を直されたことは大切な財産になっています。
業務後の飲み会とか大嫌いで何かと理由をつけて行きませんでしたが、飲み会など行かずとも返事がきちんとできるおかげでコミュニケーションに問題は起こらなかったとすら思っています。
私は親から返事の仕方を厳しく指導された記憶がありませんが、19歳で親以外から直されたのは運が良かったと思います。他人が19歳の人間に『返事の仕方』なんて根本から教えたりしないですからね。
今『返事をきちんとできない子供』であるならば、この先に親以外で直してくれるのはかなり稀だと思ってください。ゆえに直すのは親の役割です。私の生徒は厳しくいきますけどね。