最近では、私はあまり中学受験をする子はそれほど見ていないが、いないわけでもないのです。
以前は私立中学を受験する子ばかりだったが、最近では公立の中高一貫校を受けたいという人も一定数います。
当然、公立中高一貫校の入試問題も見るのだけど、問題の聞かれ方にふと感じたことがあるのですね。
それは、「あなたはこの小学校6年まで何を考えて生きてきたのですか?」みたいな感じ。
受験テクニックで解かなかったとしたら何で解くのか
受験業界では中学に限らず、高校・大学入試で多くの受験生は受験テクニックを磨く人が多いのです。
「こういう問題がきたら、こう答える」みたいな。
これがいきすぎると、「まともに考えていない、受験の成績がいいだけの学生」が出来上がるのだけど、本来は入試を作る側は考えられない子ではなく、きちんと深く思考できる人間を求めているのですね。
ですから、問題文にもそういう学校側の意思が見えるのです。
そして公立中高一貫校の適正検査にも、真剣に問題に向き合うとそうした強い意志が見えます。
この公立中高一貫校の適正検査は個々の問題を分解していくとそれほど難しいものではないのです。
何をすればいいのかに気付けば、簡単な計算や読解力の問題であることがほとんど。
ただ問題はその「何をすればいいのか」に気付くこと。
適性検査の問題はとにかく、やたら問題文が長い。しかも会話調であることが多い。
ゆえに、問題を解くために必要なこと・どうでないことの見極めが必要なのです。
さらに面白いのは、その会話文の中。
やたらと「どうしてかな」「試してみよう」「確かめる」「これはなんだ」「あるのかな」など疑問を投げかけたり、試行錯誤しているのですね。
問題文にでてくる登場人物がずっとこんな調子なので、問題を解こうと思ったら当然、「こいつらはいったい何に疑問を持っているのか」ということが分からなくてはいけないのです。
普段から5W1Hを考えるクセがない人は、問題文の登場人物が何にこだわっているのか理解ができないと思うのですよ。
あるいは試す・確かめるという面倒なことをきちんとしない人は、なぜ試すのか・なぜ確かめる必要があるのかが分からないと思うのです。
ゆえに、公立中高一貫校の適正検査は「お前はこれまでの12年くらいでどういう風に疑問を持って生活してきたのか、そしてどうやって解決しようとしてきたのか、そもそもそんなこと考えてきたのか」を聞いている試験なのです。
いちいち細かいことまでこだわったり確認したり、そして分からないことでもとりあえず試してみたりしてきたのか?
そんな思いが見えるのです。
そうした要求に応えなければ点数にはならないのですね。
こうした試行錯誤や疑問をもつクセを身に着けている子は自然に合格し、受験テクニックで乗り切ろうとする子はよしんば合格したとしても入学後苦労することになるでしょう。周囲は思考力の高い人間ばかりなのですから。
受験も成績も幼少期からの積み重ねが最強
このように考えると、受験テクニックではなく真面目に中学受験に合格しようと思えば日常から何事も学習なのだという意識が必要です。
「なぜ」「いつ」「どこで」「何が」「どのように」などのいわゆる5W1Hが日常になっているかです。
これは何も中学受験に限らず、一般の公立中学で学習していくことを考えても同様です。高校受験や大学受験でも同じです。
そして、このクセはまだ「面倒くさい」とかいう意識がない幼少期につけるべきものだと思うのです。
子供の教育にとって乳児期から幼児期に一番大切なことという記事でも書いたようなことを幼少時から積み重ねている必要があるのです。
小学校高学年くらいから「そんなの面倒くさい」とかいう概念がでてきた時点で、考えるクセがついていなかったら修正はなかなか大変です。